偕成社
姿を巧みに隠し忍びよる戦争のこわさ、おそろしさを伝える絵本。深みのある文章と、力強い絵で読む人の心に静かに語りかけます。
絵のあまりの力強さ、のどかな風景にかぶさる戦争のイメージ(生き物のように描かれていますね)が罪と悲しみと問いかけを表現しています。日本人の感覚ではここまでの絵を絵本にするという企画にはできなかったのではないかと思いました。戦争はいけないとわかっていますが、それでもはじめて、やっと、なぜいけないか、と知れたような本です。(読者の方より)
文:アリス・ウォーカー
絵:ステファーノ・ヴィタール
訳:長田弘
ISBN:978-4-03202720-4
アリス・ウォーカー
1944年アメリカ合衆国ジョージア州生まれ。『カラーパープル』で、黒人女性としてはじめてピューリッツァー賞を受賞。同作で全米図書賞も受賞、スピルバーグ監督によって映画化された。著作に、詩集“Once”“Collected Poems”、小説『アリス・ウォーカー短編集』『わが愛しきものの神殿(上下)』『父の輝くほほえみの光で』、エッセー『勇敢な娘たちに』『なぜ戦争はよくないか』など。
ステファーノ・ヴィタール
1958年イタリア・パドヴァ生まれ。「タイム」「ニューヨーカー」「ニューズウィーク」などの雑誌のイラストや、本の装丁などの仕事多数。世界各国の伝統絵画を研究し、独自の画風をつくりだした。絵本に“When the Wind Stops”“If You Listen”“Sleepy Book”“There Is a Flower at the Tip of My Nose Smelling Me”『ながれ星がはこんできたおはなし』『なぜ戦争はよくないか』など。
長田弘
1939年福島生まれ。早稲田大学在学中より詩を発表。詩誌の編集にも携わる。詩集に『われら新鮮な旅人』『食卓一期一会』『深呼吸の必要』(路傍の石文学賞)『世界はうつくしいと』(三好達治賞)『奇跡—ミラクル—』(毎日芸術賞)『長田弘全詩集』など、絵本に『森の絵本』(講談社出版文化賞)『ねこのき』、絵本の翻訳に『世界をみにいこう』『なぜ戦争はよくないか』、エッセイに『アメリカの61の風景』『人生の特別な一瞬』などがある。2015年没。