新教出版社
「己れの研究の内容が、己れがキリスト者でありかつ日本人であるという事実にどれほど刺さっているか」――(あとがきより)
キリスト教修道制の成立をめぐる諸研究、『エジプト人マカリオス伝』や最初のシリア語キリスト教著作家バルダイサンに関する研究と原典翻訳、そのほか著者が企図するヴェーバー『宗教社会学論集』全訳をめぐる諸論考など、常に優れた成果を生み出してきた研究者の歩みを示す27編。
【目次より】
第1部 キリスト教修道制、古代末期
第1章 禁欲主義という生き方
第2章 キリスト教修道制の成立と、なお残る問題
第3章 キリスト教修道制の成立――隠修制と共住制――
第4章 M. Weberにおける「禁欲」「修道制」概念
第5章 キリスト教にとって修道制は何を意味するか
第6章 キリスト教修道制におけるしあわせ?
第7章 Peter Brownの古代末期理解をめぐって
【書評】P・ブラウン『古代末期の形成』
【書評】長谷川宜之『ローマ帝国とアウグスティヌス』
第2部 東方キリスト教とその周辺
第1章 『エジプト人マカリオス伝』研究――経過報告――
第2章 『エジプト人マカリオス伝』をめぐる諸考察
第3章 翻訳か自国語か――東方キリスト教文学伝承の一齣――
第4章 東方キリスト教文学におけるアラビア語――翻訳との関係で――
第5章 東方キリスト教における聖人伝と翻訳
第6章 最初のシリア語キリスト教著作家バルダイサン――或いは、人文学の存在意義をめぐって――
第7章 【翻訳】バルダイサン『諸国の法の書』
第8章 最初のシリア語キリスト教著作家バルダイサンの知的背景
第9章 東方キリスト教をめぐって
【書評】久松英二『祈りの心身技法』
【書評】Goehring & Timbie (eds.),The World of Early Egyptian Christianity
【書評】青木健『マニ教』
【書評】小杉泰・林佳世子編『イスラーム 書物の歴史』
第3部 その他
第1章 イスラム教徒から批判された教皇ベネディクト16世の講演
第2章 宗教を研究し教えることに何の意味があるか
第3章 なぜ今Weber『宗教社会学論集』の新訳が必要か
第4章 ヴェーバー『宗教社会学論集』第1巻上(拙訳)への註記及び覚書
【書評】キリスト教史学会編『マックス・ヴェーバー「倫理」論文を読み解く』
著者・訳者など:戸田聡 著
判型:A5判
ページ数:400頁
ISBN:978-4-40031094-5
JAN:9789780000000
戸田 聡(とだ さとし)
東京大学経済学部卒。中小企業金融公庫(当時)勤務ののち、一橋大学大学院に進学、同中退ベルギー・ルーヴァンカトリック大学(フランス語圏)に留学し、同哲学・文学部東洋学研究所(当時)に在籍、1999年同特別学士課程修了。2003年オランダ・ライデン大学文学部(当時)博士課程に転籍、2006年同大学から文学博士号(doctor litterarum)を授与される。専門は古代キリスト教史、東方キリスト教文学。一橋大学他での非常勤講師等を経て2013年4月から北海道大学大学院文学研究科(現・文学研究院)教員、現在に至る。
著書:『キリスト教修道制の成立』(創文社、2008年)、Vie de S. Macaire l’Egyptien. Edition et traduction des textes copte et syriaque (Gorgias Press, 2012)、『砂漠に引きこもった人々 キリスト教聖人伝選集』(編訳。教文館、2016年)、『古代キリスト教研究論集』(北海道大学出版会、2021年)他。
訳書:K.S. フランク『修道院の歴史』(2002年)、J. ファン・デル・フリート『解読 ユダの福音書』(2007年)、A.H.M. ジョーンズ『ヨーロッパの改宗 ―コンスタンティヌス《大帝》の生涯―』(以上教文館、2008年)、P. ブラウン『貧者を愛する者 古代末期におけるキリスト教的慈善の誕生』(慶應義塾大学出版会、2012年)、H.-G. ベック『ビザンツ世界論 ―ビザンツの千年―』(知泉書館、2014年)、M. ヴェーバー『宗教社会学論集 第1巻上』(北海道大学出版会、2019年) 他。