出版社・製造元:関西学院大学出版
金子みすゞはなぜ自死したのか。今なお多くの人々を魅了し続ける作品の背後にある彼女の苦悩に迫る。遺言や512編の作品を宗教学、精神病理学、スピリチュアリティの視点から分析した論考。
目次
はじめに
第一章 自死をめぐる考察──遺言の分析
一 目的、方法、論述
二 金子みすゞの自死を扱った先行研究
三 自死の理由
四 彼女の自死と遺言書
五 遺書の資料としての適切性
六 金子みすゞの遺言の適切性
七 三通の遺書の分析
八 遺書にある矛盾・不一致
九 自死の心理分析 ── 自死への誘因
一〇 苦痛からの逃避
一一 結語
第二章 「死の理解」 とスピリチュアリティ──作品 「雪」 を中心にして
一 はじめに
二 スピリチュアリティとは何か
三 作品「雪」
四 作品「雪」の死観・死後観・神仏観
五 金子みすゞのスピリチュアルな世界
六 結語 ── 金子みすゞにおける「死の理解」とスピリチュアリティ
第三章 自死の宗教学的考察──宗教と空想
一 はじめに
二 研究方法
三 空想に生きた金子みすゞ
四 自殺原因と宗教
五 金子みすゞの自死と宗教的影響
六 金子みすゞの空想的宗教世界
七 結語
第四章 「宗教心」 の機能的分析──作品 「花のたましい」 を中心にして
一 目的
二 先行研究と研究方法
三 宗教心とは何か
四 機能としての「宗教心」の理解
五 作品「花のたましい」について
六 悪人救済思想と自力作善思想
七 金子みすゞの宗教心の特徴
八 結語
第五章 さびしさの精神病理──抑うつ気分と自己愛人格傾向
一 はじめに
二 先行研究
三 作品分析
四 「さびしさ」「うれしさ」を詠う詩歌
五 金子みすゞの「さびしさ」を扱った先行研究
六 「さびしさ」の心理
七 金子みすゞの「さびしさ」の原因
八 「特権意識」「共感性の欠如」の精神病理 ── 自己愛人格傾向
九 「抑うつ気分」と「自己愛人格傾向」の二重苦
一〇 エピソードからの考察
一一 結語
第六章 自死について──抑うつ気分と自己愛人格傾向の視点から
一 目的、方法、論述
二 金子みすゞの自死を扱った先行研究
三 自死の精神病理的理由
四 自己愛人格傾向
五 「抑うつ気分」と「自己愛人格傾向」
六 金子みすゞの精神病理の構造
七 自己愛人格傾向と自死
八 自死への過程
九 結語
初出一覧
あとがき
著者・訳者など:窪寺俊之
ISBN:978-4-86283334-1
JAN:9789780000000